誰でも一度はベッドや布団で横になるものの「寝れない…」という経験はあると思います。
前回は不眠症の薬以外の対処法について説明しました。
原因がわからない限り、いくら睡眠薬を内服しても改善しません。
睡眠薬はちょっと怖いわ。
いまではさまざまな睡眠薬が販売されており、依存性がないものもあります。
どんな睡眠薬が良いのか説明しますね。
✔︎ なかなか寝つけない人
✔︎ 夜中によく目が覚める人
✔︎ 朝早く目が覚めてしまう人
✔︎ 不眠に興味がある人
✔︎ 睡眠薬が怖いと思っている人
睡眠薬への抵抗
現在の不眠治療は睡眠薬を用いた薬物療法が中心です。
かつて用いられていた睡眠薬は効果が強力な反面、副作用も強く安全性に問題がありました。
しかし、現在広く使われている睡眠薬は不安や緊張、興奮をやわらげて眠りに導くので自然に近い眠りが得られ、副作用も少なく安心して使えるようになっています。
ただし、長期にわたって漫然と使い続けるのはよくありません。医師の指導の元に適切に使用することが大事です。
最近では、ドラッグストアで購入できる市販の睡眠薬が売られています。
これはアレルギー薬の副作用(眠気)を利用したもので、あくまでも短期間の使用に限られています。花粉症や酔い止めと同じ作用ですね。
不眠症に対する治療効果は確かめられていませんので、不眠症の方はこれら市販の睡眠薬を長期に用いてはなりません。
睡眠薬の種類
睡眠薬はどれも一緒ではありません。
ご家族が飲んでいる睡眠薬を飲んではだめですよ。ひとりひとりの症状に合わせて処方されて飲むべきなんです。
左側は一般名で、()内は商品名です。ジェネリックは一般名で、ジェネリックがない場合は()内の商品名が使用されることが多いです。
ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロンの3剤のみが非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、ロゼレムはメラトニン受容体作動薬、スボレキサント(ベルソムラ)とレンボレキサント(デエビゴ)はオレキシン受容体拮抗薬であり、他はベンゾジアゼピン系睡眠薬と言われます。
主な症状 | 睡眠薬の種類 | 具体例 |
寝つきが悪い(入眠障害) | 超短時間型 | ゾルピデム(マイスリー) トリアゾラム(ハルシオン) ゾピクロン(アモバン) エスゾピクロン(ルネスタ) ラメルテオン(ロゼレム) |
短時間型 | ブロチゾラム(レンドルミン) ロルメタゼパム(ロラメット、エバミール) リルマザホン(リスミー) エチゾラム(デパス) |
|
夜中に目が覚める(中途覚醒) 早朝に目が覚め、その後寝付けない(早朝覚醒) 熟睡感がない(熟眠障害) |
中時間型 | フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース) 二トラゼパム(ベンザリン、ネルボン) エスタゾラム(ユーロジン) 二メタゼパム(エリミン) スボレキサント(ベルソムラ) レンボレキサント(デエビゴ) |
長時間型 | クアゼパム(ドラール) フルラゼパム(ダルメート、ベノジール) ハロキサゾラム(ソメリン) |
ベンゾジアゼピン系睡眠薬
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は鎮静作用(落ち着く効果)に加えて、不安を軽減する抗不安作用や、緊張している筋肉を緩める弛緩作用を併せ持ちます。
不安や緊張が強い不眠症には特に有効ですが、薬の作用が強すぎたり、作用時間が長すぎると、翌日、眠気が残ったり、ふらついたりする持ち越し効果や、薬の効果が表れてからの行動を覚えていないといった記憶障害などの副作用が起こることもあります。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
いずれも作用時間が短めで、主に入眠困難や睡眠維持困難に向きます
マイスリー(ゾルピデム酒石酸塩錠)
マイスリーは不眠症や睡眠障害に対して処方する非ベンゾジアゼピン系のお薬です。
寝つきが悪い、熟睡できないなどの不眠症状を改善し、不安や緊張をやわらげ、寝つきをよくする働きがあります。
主な副作用として、ふらつき・目眩、睡眠中の異常行動、眠気、頭痛・頭重感、倦怠感、残眠感、悪心、不安、悪夢などがあります。
用法は、就寝前に口から服用します。
後発品の10mg錠で10.9円、5mg錠で10.1円です。
30日分を限度とする処方制限があります。
アモバン(ゾピクロン錠)
寝つきが悪い、熟睡できないなどの不眠症状を改善し、不安や緊張をやわらげ、寝つきをよくする働きがあります。
主な副作用として、味覚異常(苦味)、ふらつき・目眩、睡眠中の異常行動、眠気、頭痛・頭重感、倦怠感、残眠感、悪心、不安、悪夢などがあります。
用法は、就寝前に口から服用します。
後発品の10mg錠で6.8円、7.5mg錠で6.5円です。
処方日数に制限はありません。
ルネスタ(エスゾピクロン製剤)
ルネスタは不眠症や睡眠障害に対して処方するお薬です。アモバンが改良された薬で、アモバンより副作用がでにくく、作用時間が長いです。
ですから、夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒にも比較的効果があるとされます。
主な副作用として、味覚異常、傾眠、頭痛、浮動性眩暈、注意力障害、うつ病、口渇、口腔内不快感、口内乾燥、下痢、便秘などがあります。
薬の苦味が唾液に残る場合がありますが、ゾピクロン〔アモバン〕よりは苦味が少なめとされます。
用法は、就寝前に口から服用します。
後発品の2mg錠で21.2円、1mg錠で13.3円です。処方日数に制限はありません。
メラトニン受容体作動薬
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の次に登場した睡眠薬は、メラトニンという眠りに関わるお薬であるロゼレムが2010年から使われるようになりました。
メラトニン受容体作動薬は、体内時計に働きかけ、体を夜の休息状態にするような薬です。
不眠のタイプでは入眠困難な人に使われることが多く、特に昼夜逆転気味の人に向いています。
鎮静的な効果は強くないですが、体内時計のずれを修正する作用もあるので睡眠習慣の改善にもなります。
ロゼレム(ラメルテオン錠)
体内で睡眠に深く関わるホルモン(メラトニン)の受容体に作用し、自然に近い生理的睡眠を誘導し、不眠症における入眠困難などを改善する薬です。
ロゼレムは、自然な眠気を強くするタイプの睡眠薬になります。
依存性が極めて少ない
効果と副作用に個人差がある
という特徴があります。
ロゼレムは効果の実感が得られにくいお薬で、2~4週間ほどして睡眠が徐々に改善していくこともあります。
ですから、眠れないときだけに飲むという頓服では効果が期待しづらいです。
入眠障害に対しては効果は期待しづらいです。
またロゼレムは、リズムを整える作用も期待できます。ですから、
時差ぼけ
交代勤務
の時などに効果が期待できます。
こういった特徴のあるお薬なので、ロゼレムは時間的な余裕があるときに使われます。メラトニンは加齢とともに減少していくので、高齢者には向いています。
後発品はまだなく、8mg錠で85.9円です。処方日数に制限はありません。
オレキシン受容体拮抗薬
目覚めているのに重要な物質であるオレキシンの働きをブロックすることで、睡眠状態を促すお薬になります。
オレキシンは生理的に変動している物質で、日中は増加して夜間は減少しています。
オレキシン受容体拮抗薬は睡眠と覚醒に関係する生理的な物質に働くことで、睡眠を促していくお薬になります。
ベルソムラ(スボレキサント)とデエビゴ(レンボレキサント)があります。
ベルソムラ(スボレキサント)
ベルソムラは、私たちの睡眠・覚醒の周期に関係する生理的な物質の働きを調整し、睡眠状態に仕向けていくお薬です。本来の眠気を強める形ですので、効果が人によっても異なります。
メリットとして、
自然な眠気を強くする
中途覚醒や早朝覚醒、熟眠障害に有効
依存性が極めて少ない
処方日数の制限がない
が挙げられます。
デメリットは、
夢が増えて悪夢になることがある
です。
後発品はなく、10mg錠:68.0円、15mg錠:89.1円、20mg錠:107.9円となります。処方日数に制限はありません。
デエビゴ(レンボレキサント)
デエビゴは、ベルソムラと同様に、オレキシン受容体拮抗薬は睡眠と覚醒に関係する生理的な物質に働くことで、睡眠を促していくお薬になります。
しかし、デエビゴはベルソムラに比べて、
催眠効果として優れている
ベルソムラは一包化できないが、デエビゴは一包化が可能
依存症が極めて少なく、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害と効果は抜群です。
まとめ
不眠に対するお薬について説明しました。
しっかりと医師に相談して、納得がいくお薬を内服すると効果がより出やすくなりますね。
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